企業は、AIアクセラレーターについて評価対象をNvidiaに限定せず、より幅広い選択肢を検討している。ただし、これは既存のプラットフォームを直ちに離れる準備をしているという意味ではない。AIインフラに関わる170人を対象とした7月実施のVB Pulse調査によると、39.4%が今後12か月以内にNvidia以外のアクセラレーターを評価する可能性が高いと回答した。これに対し、Nvidia Blackwell(GB300)またはNvidiaの次世代プロセッサーについて同様に回答した割合は25.3%で、差は14ポイントに達した。
調査で挙げられた代替候補には、AWS Trainium、Google TPU、AMD Instinct、Intel Gaudiのほか、企業が社内で開発するASICが含まれる。それでも、ほとんどの本番環境ではNvidiaがデフォルトの選択肢であり続けている。そのため、この結果は本番シェアが直ちに移行する証拠というより、評価対象の範囲が広がっていることを示す指標だ。
活動は拡大するが、即時の変更意向は低下
アクセラレーターに関する結果は、より大きな傾向の一部である。企業はAIインフラをより集中的に運用し、主要プラットフォームの変更を決定する前に、現在保有する環境の改善を試みている。0~3か月以内にプラットフォームを変更すると予想する回答者の割合は、6月の38.3%から7月には28.8%へ低下した。一方、3~6か月以内に変更すると予想する割合は4.1ポイント、6~12か月以内に変更すると予想する割合は5.3ポイント上昇した。変更を予定していない回答者の割合は、約40%でほぼ安定していた。
複数のプラットフォームで本番利用が増加した。Microsoft Azureを本番環境で利用しているとの回答は29%から47.1%へ上昇し、Google Geminiの利用は41.1%から47.6%へ上昇した。また、OpenAIは40.2%から49.4%へ、Anthropicは12.1%から24.7%へ上昇した。ただし、Azureの急増については慎重に解釈する必要がある。7月のサンプルは大企業に偏っており、回答者の57%が従業員1,000人超の企業に勤務していたのに対し、6月は37%だった。
企業による自社管理GPUの活用率も改善した。これらのGPUを半分以下の稼働率で運用している企業の割合は、100人を対象とした6月の調査では83%だったが、155人を対象とした7月の調査では69%に低下した。稼働率が50%を超える割合は13%から23%へ上昇した。
基準はプラットフォームの規模からワークロードの性能へ
選定基準は、購入の意思決定が実際の運用とより密接に結び付くようになったことを示している。クラウド環境および企業データとの統合は、6月の41.1%に対し、7月も40.0%で最重要要因だった。しかし、性能を重視する割合は24.3%から35.3%へ上昇し、100万トークン当たりのコストを重視する割合は7.5%から15.9%へ、GPUへのアクセスを重視する割合は18.7%から23.5%へ上昇した。
一方、総保有コスト(TCO)を主要因として選んだ割合は34.6%から21.8%へ低下した。これはコストの重要性が失われたことを意味しない。むしろ評価がワークロードにより密着していることを示している。すなわち、本番環境で推論がどのように動作するか、信頼性はどの程度か、そして有用な処理単位ごとのコストはいくらかという点である。
なぜこの傾向が重要なのか
Nvidia以外の代替候補への関心は、6月の31.8%から7月には39.4%へ上昇した。購入に関する戦略的権限を持つ層では、上昇幅がより明確だった。ただし、上級幹部のサンプルは小さい。この層では割合が42.9%、つまり14人中6人から、57.1%、つまり21人中12人へ上昇した。最終意思決定者の間では、35.4%から50%へ上昇した。
これらの数字は、アクセラレーターの多様化がエンジニアリング上の課題から戦略的なインフラ決定へと変化していることを示している。評価リストに代替候補が存在することで、企業は性能、コスト、ハードウェアの可用性を比較しやすくなる。しかし、それだけで代替候補が本番環境で優位に立ったことや、企業が移行を決定したことを証明するものではない。
制御の対象はチップに限られない
同じ傾向は、モデルを企業のデータやサービスに接続するツール層にも現れた。調査では、この層にツール、データ、オーケストレーション、評価、アイデンティティ、セキュリティ、可観測性が含まれると説明している。7月には、36.6%がモデルと併用する形で各カテゴリーの最良の独立ツールを保持することを選び、別の36.6%がサービスプロバイダー固有の実行環境と独立ツールを組み合わせることを選んだ。これにより、79.2%が単一のモデルプロバイダーの外部に一定のアーキテクチャ制御を保持するアプローチを支持した。6月の約65.3%から上昇している。
一方、単一のモデルプロバイダーが提供するネイティブなコンテキスト・スイートへの統一を好む割合は、20.8%から11.9%へ低下した。この制御は実務上重要である。7月の回答者の68.3%が、コンテキストの欠落または誤りによって、自信に満ちているものの誤った回答に遭遇したと回答した。6月は57.4%だった。また、62.4%が、管理されたセマンティック層またはコンテキスト層を本番環境で稼働させているか、構築中だと回答した。
専門クラウドとオープンソースコンポーネント
AI専門クラウドプロバイダー、いわゆるneocloudsの利用拡大を予想する割合は33%から38%へ上昇し、利用縮小を予想する割合は9.7%から5.4%へ低下した。しかし、CoreWeave、Lambda、Crusoe、Nebiusなど、名前の挙がったプロバイダーの現在の本番利用率は依然としてはるかに低く、1.9%から5.9%への上昇にとどまった。
拡大意向と現在の利用状況との乖離は、評価および導入の可能性があることを示しているが、導入が完了したことを示すものではない。信頼性、セキュリティ、サポート、ネットワーク、データ管理は、これらの企業がアクセラレーターへのアクセスを持続的な企業利用へ転換できるかどうかを左右する重要な要因であり続ける。
また、オープンソースで自社管理する本番パッケージの利用は3.7%から12.9%へ上昇した。調査に挙げられた例には、PyTorch、Triton、vLLM、Ray、Kubernetesが含まれる。LMCacheやvLLM prefix cachingなど、オープンソースのキー・バリューキャッシュツールの利用も6.5%から11.8%へ上昇した。しかし、オープンソースプラットフォームを検討している割合は5.6%から6.5%へとほぼ横ばいだった。これは、拡大が新たに評価を始めたより広い層ではなく、実装段階に入った企業の間で集中していることを意味する。
方法論上の制約:本稿は、2026年6月に107人、2026年7月に170人を対象とした、独立した2回の調査と2つの時点を比較したものであり、同じ企業を追跡した縦断研究ではない。サンプル構成も変化しており、統計的有意性の検定は実施していない。そのため、月ごとの差は因果関係の証明ではなく、方向性を示すシグナルとして扱うべきである。なお、コンテキスト層に関するデータは、各月101人を対象とした別の調査に基づいている。
ニュースの出典
VentureBeat Startups & Funding
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