Dynatraceは、Arizeの買収を完了したと発表した。取引額は9億1500万ドルで、8月中旬に買収の意向を発表していた。今回の取引により、アプリケーションパフォーマンス、インフラストラクチャー、セキュリティの監視におけるDynatraceの専門知識と、AIモデルおよびエージェントの挙動の追跡、評価、問題のデバッグにおけるArizeの能力が統合される。
この取引は、従来の監視ツールだけでは明らかにならない問題への対応となる。サービスやインフラストラクチャーが正常に動作していても、エージェントが誤った回答を提供したり、不適切なツールを呼び出したり、タスクの完了に失敗したりする可能性がある。そのため、開発・運用チームは、モデルやエージェント内部で起きていることを、それらが依存するAPIやサービスで起きていることと結び付ける必要がある。
2層の運用可視性
Dynatraceは2005年にオーストリアで設立され、アプリケーションパフォーマンス監視から包括的な監視とセキュリティへと発展した。同社は2017年から、AIを活用したアシスタントであるDavisにも投資しており、Davisはその後、根本原因分析のエンジンへと発展したほか、予測・生成機能や、インシデントの調査と対処を行うSREエージェントも備えるようになった。
一方、2020年にステルス状態から脱したArizeは、当初は本番環境における機械学習モデルの監視を行うスタートアップとして始まった。その後、大規模言語モデルやエージェントの普及に伴い、対象範囲を拡大し、モデルやエージェントの挙動の追跡、評価の実施、従来のアプリケーション監視では見えない可能性のある失敗の特定を行うようになった。
実際には、Dynatraceは通常、サイト信頼性およびプラットフォームのチームに利用される一方、ArizeはAIエンジニアや開発者に焦点を当てている。両プラットフォームを統合すれば、エージェントの失敗を2つの層にまたがって調査できる。すなわち、一方ではモデルのロジックとツールの利用、他方では基盤となるサービスとAPIを調べられる。
データの読み取りから行動の実行へ
Arizeの共同創業者兼最高製品責任者であるAparna Dhinakaranは、トレースデータの量が多いため、手作業による調査は現実的ではないと考えている。エンジニアに数十億件のトレースを確認させる代わりに、エージェントがテレメトリーデータを分析し、繰り返し現れるパターンや考えられる原因を探せる。
Arizeによると、Signalツールは本番環境のトレースを確認し、繰り返し発生する問題を特定して、修正を提案する。また、Alyxアシスタントのトレースを分析して、マージリクエストを作成することもできる。Dhinakaranによると、Arizeは同ツールが提案したマージリクエストの約65%から70%を受け入れている。このモデルでは、エンジニアはトレースを手作業で探すのではなく、提案された変更をレビューすることになる。
実際に何が変わるのか
今回の取引の主な価値は、AIアプリケーションの構築と、本番環境での安定した運用との間にある隔たりを縮小することにある。開発者やプラットフォームチームは、エージェントの回答や判断を、エージェントが利用したサービスの連鎖と結び付けられるようになる。これにより、各層を別々のツールで扱う必要がなくなる。
しかし、この方向性によって制御が不要になるわけではない。記事は、長期的な構想が、自らを保守・改善できるソフトウェアであり、最終的なレビューは人間が担い続けることだと説明している。また、前述のマージリクエストの受け入れ率は、Arizeと特定のツールによる実験に関するものであり、自己修正があらゆる本番環境に適していることを証明するものではない。自動分析をシステムへの直接的な変更に変える前に、権限、変更の安全性、エージェントが実行を許可される操作の範囲に関する問題が、依然として決定的な要素となる。
ニュースの出典
The New Stack - Software Development
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