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なぜ「日本のAI」だけでは不十分なのか? SakuraとSakana AIが示す主権への実践的アプローチ

Sakura InternetとSakana AIへのインタビューからは、AIエコシステムを完全に国内だけで構築することは不可能かつ合理的ではなく、実践的な解決策は、データ、運用、モデルを管理し、依存先を分散させることだという結論が導かれる。このアプローチには、外国製モデルを国内インフラ内で運用することや、オープンモデルを追加学習によって日本の要件に適応させることが含まれる。

なぜ「日本のAI」だけでは不十分なのか? SakuraとSakana AIが示す主権への実践的アプローチ

AIの主権とは、ある一国が電力や半導体からモデル、アプリケーションに至るまで、エコシステムのすべての構成要素を構築することを意味しない。これが、ITmedia AI Plusの分析が示す中心的な結論であり、Sakura Internet社長の田中邦裕氏と、Sakana AIの国際政治アナリストである石井純也氏の見解に基づいている。より現実的な基準は、どの層を管理すべきかを定め、単一の外部供給元への依存を減らしつつ、ある供給者が停止したり、その利用条件が変わったりしても業務を継続できる能力を維持することだ。

主権の3つの側面

田中氏は、AIインフラの主権を3つの側面に分けている。1つ目はデータ主権であり、データを国内に保持し、国内の範囲内で管理することを指す。2つ目は運用主権で、インフラの運用、サーバーの所在地、規模について決定権を持つことを含む。技術主権は、モデルやソフトウェアそのものを開発する能力に関わる。

田中氏は、これらの側面に関連するリスクはもはや仮想的なものではないと考えている。国外のサーバーからデータが流出する問題、外国のプロバイダーが日本国内のサーバーへの投資を拒む問題、さらにソフトウェアの輸出禁止リスクが現れている。記事は、米国政府の命令に基づき、Anthropicが6月にClaude Fable 5Mythos 5の提供を一時停止したことを、政治的同盟への依存がソフトウェアやサーバーへのアクセス継続を保証しないことの例として挙げている。

こうしたリスクがさらに難しいのは、通常の状況では表面化しないことが多いためだ。サービスは安定して低コストに見えても、政治的または商業的な変化が起きると利用できなくなる可能性がある。田中氏はこれを「ナフサ」の問題になぞらえている。平時に安価な輸入品へ依存すると、状況が変化した際に供給が混乱するという問題だ。

なぜ「完全な国産化」では不十分なのか?

田中氏と石井氏は、日本がAIのすべての層を100%カバーすることは不可能であり、合理的でもないという点で一致している。石井氏はエコシステムを4つの層に分けている。電力や半導体などのインフラ資材、クラウドまたはオンプレミスによるデータ管理層、基盤モデル層、そしてアプリケーションだ。

この見方によれば、一つの国や企業がこれらすべての構成要素を効率的に保有することはできない。そこで石井氏は、各層における外国への依存を低減し、海外技術を利用する場合には製品と供給者を分散させることを提案している。日本、韓国、インド、オーストラリア、カナダは中堅国として、同じような考え方に向かっているという。

Sakura Internetは、NVIDIAのGPUを手放すことは現実的な選択肢ではないと考えている。この業界は、米国企業でさえ世界的な供給者に依存しているからだ。ただし田中氏は、チップそのものと、その上位層を区別している。クラウド基盤、推論サービス、運用ソフトウェアなどは、日本が開発できる領域だ。

企業にとって実際に何が変わるのか?

Sakura Internetは、AIサービスを評価する際、「データは日本国内に保存されているか」という問いだけでは不十分だと指摘している。より重要な問いは、入力データがモデルの学習に利用されるかどうかだ。データが実際には日本のサーバーに存在していても、企業が管理できない学習プロセスに入れば、その主権の一部を失う可能性がある。

企業は、サーバーの物理的な隔離と、自社専用であるかどうかも確認すべきだ。これは製造業の顧客から特に注目されている点である。必ずしもモデルの国籍に関係するわけではない。田中氏は、中国のKimiQwenのようなオープンモデルでも、ローカルサーバー内で運用すればデータを国外に出さずに済むと考えている。ただし、提供元やソフトウェアに関するその他のリスクを評価する必要は残る。

実際に利用できる能力の問題も浮上する。高性能なGPUを紙の上で保有していても、リソース不足、電力制限、サービスプロバイダーによる性能上限の設定などにより、必要なときに利用できるとは限らない。田中氏が提案する選択肢の一つは、一般的な性能では最先端モデルを下回るとしても、より小型で専門的なモデルを使い、ローカルの推論基盤で運用することだ。エージェント型アプリケーションで大量のトークンを消費する必要がある場合、コスト面でもその方が効率的になり得る。

このアプローチは、日本を外国技術から隔離することを意味しない。Sakura InternetはMicrosoftと協力し、Microsoft Azureのコントロールプレーンを通じて自社の基盤とサービスを提供している。ただし田中氏は、外国技術を利用しながら、後に同等のサービスを国内で提供できる能力も構築する必要があると強調している。単に消費するだけではいけないということだ。

ゼロから構築するのではなくモデルを適応させる

Sakana AIは、モデルのレベルでは異なる道筋を取っている。モデルの構造と重みをすべてゼロから構築するのではなく、高度なオープンモデルを利用し、追加学習技術によってその挙動を変更し、日本の要件に適応させている。

石井氏によると、米国や中国のモデルは莫大なリソースで開発されており、同じアプローチを繰り返して追いつくのは難しい。一方、外国のモデルは特定の価値観や政治的バイアスを反映している可能性がある。そのためSakana AIはNamazuモデルを開発し、5月には同モデルを搭載したチャットボットSakana Chatを公開した。

同社は、出力を日本の見方に強く偏らせることを目指しているわけではない。石井氏によれば、歴史や領土の問題について中立的な回答を示しながら、日本の立場を明確に示すことを目指している。単一的な回答では、海外のユーザーからの信頼が弱まる可能性があるためだ。追加学習の利点は複数のモデルに適用できることであり、特定のモデルが停止した場合の影響を軽減できる。

この必要性は、特に政府、金融、防衛の分野で顕著だ。Sakana AIは、日本の防衛省の防衛装備庁に属する研究機関と、基盤技術を開発する複数年契約を結んでおり、2年間にわたる実証を行っている。取り組みには、通信環境が弱い場所でドローン上で動作する軽量AIや、ドローンが収集した情報を指揮統制に活用するシステムが含まれる。

結論:重要なのは国籍よりも管理能力

Sakura InternetとSakana AIの経験は、主権的なAIについて実践的な定義を示している。それは「国産」というラベルを付けた閉鎖的なシステムではなく、データ、運用、モデルを管理し、供給者やモデルを失っても業務を継続できる代替手段を備える能力である。

したがって、日本企業はまず現在の基盤の各層を棚卸しする必要がある。データは学習に使われているのか。誰がインフラを管理しているのか。明日モデルが停止したら何が起きるのか。これらの問いへの回答は、モデルの国籍だけに依存するよりも有益だ。Preferred Networksが採用しているような、すべてをゼロから構築するプロジェクトも重要な選択肢だが、記事はそれを唯一の解決策ではなく、複数ある選択肢の一つとして位置付けている。また、Sakana AIがGENIACプロジェクトでSakura Internetのクラウド基盤「タカビ」を利用していることは、国内の構成要素が異なる層をまたいで統合できることを示している。

ニュースの出典
ITmedia AI Plus Japan
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certi.news

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