2026年8月29日から9月4日までに発表された米国スタートアップの最大規模の資金調達ラウンドでは、AIインフラが首位を占めた。CrusoeはSeries Fラウンドで30億ドルを調達し、Fluidstackはプライベートエクイティ投資家からのラウンドで15億ドルを調達した。この2件のラウンドは、大規模なAIワークロードの稼働に必要なデータセンター、クラウド、コンピューティング能力へ、資本が引き続き向かっていることを明確に示している。
最大規模の2ラウンド
CrusoeのラウンドはAtreides ManagementとValor Equity Partnersが主導し、Mubadala Capitalも参加した。同社は当初、未利用の天然ガスを使って暗号資産マイニングを稼働させていたが、その後、AI向けクラウドおよび専用データセンターのプロバイダーへと転換し、OpenAI、Microsoft、Metaなどを顧客としている。Crunchbaseによると、Crusoeはこれまでに約72億ドルを調達しており、ラウンド後の評価額は300億ドルに達した。これは1年足らず前の評価額の3倍に当たる。
一方、ニューヨークを拠点とするFluidstackは、Jane Street Capitalが主導したラウンドで15億ドルを調達した。これにより累計調達額は26億ドル強となり、評価額は180億ドルに達した。同社は、AIワークロード向けの大規模なGPUインフラと専用データセンターを提供している。
リストに入ったその他のラウンド
- Gimlet Labs:Andreessen Horowitzが主導するSeries Bで3億ドルを調達し、評価額は30億ドルとなった。同社は、異なる種類のチップ間でワークロードを分散するAI推論クラウドを開発している。
- Upwind Security:3億ドルを調達し、評価額は38億ドルとなった。同社のプラットフォームは、リアルタイムのクラウド運用データを利用して脅威と脆弱性を検出する。
- David:高タンパク食品企業である同社は2億5000万ドルを調達し、評価額は22億5000万ドルとなった。
- HiBob:人事、給与、福利厚生、従業員管理向けのBobプラットフォームのために1億6600万ドルを調達し、評価額は32億ドルとなった。
- Lyte AI:Series Cで1億6500万ドルを調達し、評価額は16億ドルとなった。同社は、ロボットが周囲の環境を認識するのを支援する専用チップ、センサー、ソフトウェアを開発している。
- TabaPay:送金・決済インフラの資金として1億5500万ドルを調達した。同社はTransact Bankの買収を目指す動きと並行して調達を行った。
- Thyme Care:がん治療の調整サービスと腫瘍ケア管理のため、Series Eで1億2500万ドルを調達し、評価額は20億ドルとなった。
- HiddenLayer:AIモデル、エージェント、ワークフローを攻撃や脆弱性から保護するツールの開発に向け、Series Bで1億ドルを調達した。
なぜこの傾向が重要なのか
このリストは、支出がAIモデルの構築だけに集中しているのではなく、その利用を可能にする層、すなわちデータセンター、GPU、推論、セキュリティ、そしてソフトウェアと物理世界を結び付けるシステムにまで及んでいることを示している。また、Upwind SecurityやHiddenLayerのような企業の存在は、クラウドインフラやAIシステムが本番環境へ移行するなかで、それらを保護する需要が拡大していることを反映している。
ただし、資金調達ラウンドだけで、これらの企業の成功や持続的な収益を生み出す能力が証明されるわけではない。また、このリストは米国に拠点を置く企業が発表したラウンドを対象としており、一部の取引はCrunchbaseのデータベースに掲載されるまで時間がかかる可能性がある。そのため、世界全体のスタートアップ資金調達活動を必ずしもすべて表しているわけではない。数字が示すのは投資家の賭け金の規模であり、実際の業績ではない。