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企業はどこでAIを動かすのか? 日本HPがクラウドとオンプレミス環境のバランスを解説

日本HPは、AIをクラウドで動かすかオンプレミスで動かすかの判断は、固定的な技術志向ではなく、データの機密性と処理の性質から始めるべきだと考えている。同社の経験は、ユーザー数、サービスの継続性、運用コスト、結果の承認方法が、モデルやデバイスの選択と同じくらい重要な要素であることを示している。

2026-09-16
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企業はどこでAIを動かすのか? 日本HPがクラウドとオンプレミス環境のバランスを解説

企業がAIツールの試用から日常業務での利用へと移行するなか、基本的な問いは、どのモデルを選ぶかではなく、実際にどこで処理を行うかになっている。日本HPの日本での経験は、クラウドサービスとオンプレミスシステムを比較検討するための実践的な枠組みを示しており、オンプレミス運用自体を目的とみなすことへの明確な警告も含んでいる。

この見解は、2026年7月16日に東京で開催された「HP Partner Communication 2026」で、日本HPのAI・データサイエンス市場開発部長である勝谷裕史氏が行った講演と、ITmediaが同氏に実施した個別インタビューから示された。勝谷氏によると、同氏に相談する企業の多くはすでにAIを利用し始めているが、現在は業務内での活用を拡大する方法を模索している。

一般的な試用から企業業務へ

勝谷氏は、企業が会話や要約の利用から、モデルと社内文書の連携、さらにAIエージェントによる見積書や提案書の作成といった業務の自動化へ段階的に進むことを提案している。同氏は講演で、「AI従業員」と呼ぶものの役割を3つに分類した。会議議事録や文書作成を担うアシスタント、営業や設計業務を支援する専門担当者、そしてデータの提示や意思決定を支援する分析担当である。

この構想はソフトウェアに限られない。日本HPは、AI PCとトレーニング、ローカルで大規模言語モデルを検証するワークステーション、そして企業部門向けに複数のGPUを利用する運用環境を組み合わせて紹介した。考え方は、利用する業務から切り離してデバイスやサービスを販売するのではなく、利用段階に合わせてインフラを適合させることにある。

データの機密性が出発点

勝谷氏は、公開されている情報を検索する際にはクラウドAIサービスを利用する一方、社外に持ち出せない業務に関わるデータを扱う場合は、処理をローカルで実行すると説明している。ただし、内部データを含むすべての業務を自動的にローカルデバイスへ移すべきだという意味ではない。ローカル環境で必要な業務を実行できるかを検証し、クラウドの速度や柔軟性と比較する必要がある。

この経験は、アプリケーションを利用する場所と、推論を実行する場所を区別する重要性を示している。記事によると、OpenAIのCodexは自動化やプログラミングの一部をパソコン上で動作させるが、推論そのものはクラウドで行われる。そのためIT部門は、社内のデバイス上にアプリケーションのインターフェースがあることだけで判断せず、データの送信先と処理の実行場所を確認しなければならない。

日本HPは、オープンソースのAIエージェントであるOpenClawもローカル環境で検証しているが、勝谷氏は自身の環境で処理が停止することがあり、現在も一部のケースではCodexを選択していると述べた。この経験は、ハードウェアやモデルが利用可能であるだけで、完全なローカル運用が保証されるわけではないという実務的な見方を裏付けている。

デバイスの選択は利用規模によって変わる

ローカル運用が必要だと判断した後は、利用規模を決める必要がある。勝谷氏は、顧客の要件を実行できるかを初期検証するために、HP ZGX Nano G1n AI Stationを使用しており、これはNVIDIA DGX Sparkに相当するHP独自のデバイスだと説明している。また、小型であるため、生産ラインなどの現場へ持ち込んで試験することもできる。

この種のデバイスは、研究開発、個人利用、または限られた予算での初期検証に適している。一方、同じ部門で複数人が業務を実行する場合は、より大型のワークステーションや共有環境が必要になる可能性がある。個人によるテストでモデルが成功しても、グループ全体で利用した際に快適な性能が得られることを証明するものではない。ユーザー数、許容できる待ち時間、処理頻度は、ハードウェアを選択する前に決めておくべき要素である。

判断には、デバイスを置く場所も含まれる。初期段階ではユーザーの近くに置き、その後、台数が増えればサーバールームへ移す場合もある。計画、推論、ツール実行、結果確認を繰り返すエージェントでは、GPUだけを見ればよいわけではない。メインメモリ、SSDストレージ、CPUもすべてボトルネックになる可能性がある。

コストはクラウド料金とデバイス価格の比較ではない

勝谷氏は、短期的なコストを重視する場合にはクラウドが適切な選択肢になり得る一方、特に企業ネットワークのプロキシに関する問題や、料金・利用上限の変更に直面した場合、一部の企業にとってはローカル環境のほうが継続性を高められると考えている。顧客によっては、トークン費用を抑えるため、GPUを搭載したワークステーションを複数のユーザーで共有することもある。

ただし、正確な比較には、ローカル環境における電気代、保守、管理、初期投資に加え、クラウドの契約条件と利用規模も含めなければならない。また、両方の環境で同じ処理を同じ品質と再現性で実行できるか、サービスやネットワークの停止が業務に与える影響は何かも問う必要がある。

人の関与がボトルネックになる可能性

モデルとデバイスを用意した後でも、権限を伴う処理を実行するために人の承認が必要となり、業務が止まることがある。勝谷氏は、自身が多忙になると、人そのものがボトルネックになる可能性を認めている。そのため、エージェントを導入するには、エージェントをツールに接続するだけでなく、承認が必要な段階と責任者を定める必要がある。

日本HPの経験から得られる実務的な結論は、AIの運用環境の選択を、データ、次に業務、そしてユーザー数、コスト、継続性、運用チームの能力という順に検討すべきだということである。また、担当者が変わった際に知識を引き継げるよう、選択したモデルとその理由を文書化する必要がある。なお、これらの指針は日本HPの担当者の経験に基づくものであり、あらゆるケースでクラウドまたはローカル運用のどちらが優れているかを示す一般基準ではない。

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ITmedia AI Plus Japan
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