2026年9月、38社の新たな非公開企業がCrunchbase Unicorn Boardに加わった。いずれも資金調達ラウンドまたは投資取引によって評価額が10億ドルの壁を超えた企業だ。これらの追加により、掲載企業の総評価額は約710億ドル増加し、同月は半導体、金融サービス、宇宙技術が新規企業数で首位に立った。
米国企業は21社、中国企業は6社、英国企業は3社だった。カナダ、サウジアラビア、日本、イスラエル、イタリア、フィンランド、ドイツ、ブルガリアからはそれぞれ1社が加わった。9月末時点で、2026年にリスト入りした企業数は約311社に達し、ユニコーン企業の創出数で同年が史上2番目に多い年となる軌道に乗っている。首位は、追加企業数が600社を超えた2021年だ。
半導体とインフラが先頭に
主な半導体関連の資金調達には、Series Aで5億ドルを調達し、評価額37億ドルとなったFab2が含まれる。同社は統合型チップ工場と、その製造設備を自社開発している。また、Celero CommunicationsはSeries Cで2億7,500万ドルを調達し、評価額は30億ドルを超えた。同社はAIインフラにおける高速光通信向けのデジタル信号処理チップを開発している。
中国では、Evas IntelligenceがオープンなRISC-Vアーキテクチャを基盤とするAIコンピューティングチップの開発に向けて2億9,800万ドルを調達し、評価額は約22億ドルとなった。一方、SiMa.aiは評価額14億5,000万ドルで1億5,000万ドルを調達し、ロボット、車両、ドローン向けのソフトウェアプラットフォームと次世代ハードウェアの資金に充てる。
クラウドインフラでも同様の傾向が見られた。Gimlet Labsは、異なる種類のチップ間でAI推論ワークロードを分散するため、評価額30億ドルで約3億ドルを調達した。一方、フィンランドのVerdaは、物理的なデータセンターとクラウドプラットフォームの管理を目的に、評価額が10億ドルを超えた。CDN77は初の外部資金調達で5億7,000万ドルを調達し、評価額は19億ドルとなった。
宇宙技術とサイバーセキュリティに大型資金
宇宙技術分野では、ドイツのThe Exploration Coが、再利用可能な宇宙船NyxとエンジンStormの開発に向けて4億5,000万ドルを調達した。また、Hubble Networkは評価額16億ドルで2億ドルを調達し、従来型のBluetooth機器と衛星との直接通信の提供を目指す。英国のOpen CosmosとブルガリアのEnduroSatも、それぞれ評価額10億ドルに達し、衛星製造と宇宙インフラの拡大を計画している。
サイバーセキュリティ分野では、イタリアのExeinが評価額17億ドルで2億7,000万ドルを調達し、AIを活用したセキュリティモデルの開発と、接続機器および自律型機械の保護に取り組む。一方、イスラエルのGuardioは4,000万ドルのラウンドを経て評価額11億ドルに達し、フィッシング、詐欺、悪意あるウェブサイト、AI生成型詐欺に重点を置いている。
既存企業の評価額も大幅に上昇
動きは新規企業に限られない。AIを活用したソフトウェアエンジニアリングツールを開発するCognitionの評価額は、4カ月前の260億ドルから480億ドルに上昇した。また、データセンター事業者Crusoeの評価額は、1年前の100億ドルから310億ドルに達し、フランスのAI研究所Mistralの評価額も、1年間で137億ドルから244億ドルに上昇した。
テクノロジー市場にとって何を意味するのか
9月のデータは、資本がAIを支える基盤層、すなわちチップやデータセンターから、トレーニングデータ、衛星通信、セキュリティに至るまで、明確に向かっていることを示している。ただし、これらの数字は非公開の資金調達ラウンドにおける評価額を反映したものであり、必ずしも安定した事業価値や市場価値を意味するものではない。Crunchbaseは、投資家が内部で行う評価額の引き下げに応じてリストの評価額を修正していないこと、また資金調達額は各事象発生時点の為替レートに基づいて米ドルに換算していることを説明している。そのため、評価額の急上昇は企業の業績に対する最終的な判断ではなく、投資家の投資意欲を示す指標として読むべきだ。