アブダビを拠点とするAIスタートアップのSynapse Analyticsは、テクノロジー投資会社Partechが主導し、Algebra VenturesとSilicon Badiaが参加したシリーズAの資金調達ラウンドで1,300万ドルを調達したと発表した。このラウンドにより、同社が設立以来調達した総額は1,700万ドルとなった。一方、取引条件や同社の評価額は明らかにされていない。
Synapse Analyticsは2018年にAhmed AbazaとGalal Elbeshbishyによって設立され、規制対象の金融機関向けの意思決定プラットフォームを開発している。同プラットフォームは信用部門とリスク管理部門を対象とし、データ、インフラ、ガバナンスに関する意思決定を組織の管理下に置いたまま、ポリシーの構築、テスト、変更、展開を可能にする。
成長と国際展開に向けた資金調達
同社は新たな資本をチームの拡大、製品開発の加速、国際市場での存在感の拡大に活用する。原資料によると、Synapse Analyticsは中東、アフリカ、ラテンアメリカの銀行、ノンバンク金融機関、フィンテック企業、通信事業者と協業している。
同社の共同創業者兼CEOであるAhmed Abazaは、同プラットフォームは金融機関がより迅速かつ安全に意思決定できるよう支援し、リスクの低減と成長の促進に寄与することを目指していると述べた。一方、PartechのディレクターであるLewam Kefelaは、同ファンドは同社をこれらの市場における銀行・金融機関向けの意思決定インフラと見ていると述べ、チームの技術的専門知識と実行力を指摘した。
金融機関にとって実務上何が変わるのか
Synapse Analyticsは、規制業界でAIを利用する際の特定の課題に焦点を当てている。金融機関はインテリジェントモデルの迅速性を活用したい一方で、機密データを外部環境に送ったり、ポリシーや意思決定の仕組みに対する管理を失ったりすることは望んでいない。同社によると、そのソリューションは、オンプレミスのデータセンター、プライベート・パブリック・ソブリンクラウド、ネットワークから隔離された環境のいずれであっても、組織の境界内に導入できる。
同プラットフォームは、顧客オンボーディング、信用、詐欺検知、マネーロンダリング対策に関連する意思決定をカバーしている。また、リスク部門と信用部門は、ポリシーを変更し、適用前に過去のデータへの影響をテストできる。同社によると、自社モデルは顧客独自のインフラ内で完全に稼働し、コンプライアンス要件とデータ管理を支援する。
信用・リスク管理向けエージェントプラットフォーム
共同創業者兼COOのGalal Elbeshbishyは、同社が信用供与の意思決定の改善から、金融チームと連携して稼働するインテリジェントエージェントの実現へと利用範囲を広げていると説明した。彼の説明によると、これらのエージェントは、金融機関による信用ポリシーの構築、評価基準の改善、ポートフォリオのリアルタイム監視を支援できるほか、新たに発生する機会やリスクを把握し、市場の変化や借り手の行動に対応できる。
今回のラウンドの重要性は、自動化と監査可能性、組織による管理を組み合わせるという、金融AI導入における重要な領域を対象とするプラットフォームの拡大に資金を提供する点にある。ただし、原資料は顧客、収益、同社が参入する新市場について詳細を示しておらず、Synapse Analyticsの評価額や展開のスケジュールも明らかにしていない。そのため、追加情報が明らかになるまで、資金調達による商業面および実行面での成果は引き続き検証の余地がある。