AWSは、Prime Day 2026を支えたインフラストラクチャーの規模に加え、AI、クラウドセキュリティ、データ分析に関する一連のアップデートを紹介した。公開された数値は、各サービスが膨大な負荷に対応できる能力だけでなく、AWSが繁忙期を前に意図的な障害テストを実施していることも示している。
Prime Dayの数値が示す負荷の規模
イベント開催の4日間で、Amazon DynamoDBは59兆件を超えるリクエストを処理し、ピーク時には毎秒1億9,200万件に達した。一方で、レイテンシーはミリ秒単位に維持された。AWS Lambdaは1日あたり2兆3,000億回を超える呼び出しに対応し、Amazon EBSの入出力操作は24兆8,000億件を超え、1日あたり1エクサバイトを超えるデータを転送した。
AWS Fargate上のAmazon ECSは、1日平均1億5,830万件のタスクを起動し、前年から47.7%増加した。一方、AWS Gravitonプロセッサーは、Amazon.comが使用したコンピューティング能力の最大49%を供給した。イベント前には、チームがAWS Fault Injection Serviceを通じて4万4,000件を超える実験を実施した。これは2025年の実験数の6倍を超えており、意図的な障害に対するシステムの挙動を検証することが目的だった。
より高速で低コストなAIモデル
Claude Haiku 5.5がAmazon BedrockおよびClaude Platform on AWSで利用可能になった。価格は、ほとんどのタスクにおいてClaude Haiku 4.5より約75%低い。今回、同モデルは初めて、推論にかける労力のレベルを制御するツールに対応し、タスクごとのコストと推論能力のバランスを調整できるようになった。AWSは、ルーティング、分類、軽微なコード修正などのタスクを実行する際に、Claude Opus 5.5と並行して利用する方法を提案している。
またAmazonは、音声から音声への変換に基づくリアルタイム音声エージェントを構築するためのAmazon Nova 2.5 Sonicを発表した。推論、指示追従、ツール呼び出しが改善され、レイテンシーも低減されている。同モデルは7言語の表現豊かな音声、ターンテイキングのタイミング制御、最大25万6,000トークンのコンテキストに対応し、一般提供されているStrands Bidi Agentsとも統合できる。
データベースセキュリティとエージェント制御
Amazon GuardDuty RDS Protectionは監視範囲を拡大し、Amazon Aurora PostgreSQLおよびAmazon RDS for PostgreSQLにおけるデータの悪用と破壊を対象に含めた。この機能は、行動ベースラインの構築、機械学習を活用した異常分析、脅威インテリジェンスを組み合わせ、追加のエージェントやデータベース設定の変更なしに、通常とは異なるアクセスパターンを検出する。
エージェント制御の分野では、AWSがオープンソースのStrands Boxを発表した。Apache 2.0ライセンスで提供され、現在は開発者向けプレビュー段階にある。このツールは、OSレベルの分離とDogwood言語による細かなポリシーを組み合わせ、エージェントが過去に実行した内容に応じて権限を制限できる。また、エグレスゲートウェイを通じて認証情報をエージェントの環境外に保持できる。
ストリーミング、分析、開発セキュリティのアップデート
AWSは、セルフマネージド型Apache Kafkaイベントソースに接続されたLambdaコンシューマーに対して、Amazon CognitoやOktaなどのIDプロバイダーによるOAuthをサポートした。これにより、組織は企業IDガバナンスを維持しながら、自動スケーリング、バッチ処理、エラー処理、イベントフィルタリングを利用できる。
Amazon Redshiftでは、Apache Icebergに基づくマテリアライズドビューを作成し、その結果をAmazon S3上のIcebergテーブルとして保存できるようになった。これらのテーブルはAWS Glue Data Catalogに登録される。Amazon Athena、Apache Spark、Trino、Snowflakeなどの互換エンジンから結果をクエリでき、Redshiftは変更された部分のみを再計算する。
またAWSは、一般公開プレビューとしてContinuum for Penetration TestingをCI/CDパイプラインに統合した。これにより、テスト結果、重大度、影響を受けるエンドポイント、修復ガイダンスがデプロイパイプラインの出力内に表示され、修正を確認するための再テストも行える。
このニュースが重要な理由
AWSのアップデートは、AIモデルの運用コスト削減、エージェントに付与する権限の調整可能化、開発・運用段階へのレジリエンスおよびセキュリティテストの組み込みという、3つの実践的な方向性を示している。ただし、新機能の多くは依然としてAWSのサービスに結び付いており、一部はプレビューまたはベータ版である。そのため、実際に利用できるかどうかは、地域ごとの提供状況、リリースの状態、既存環境への適合性に左右される。