Cloudflareは、コンテンツ経済で拡大している問題への対応を目的としたサービスPay Per Useの試験版を開始した。AI製品は出版社のページを読み取り、その要約をユーザーに提供できるが、その場合、ユーザーはサイトを訪問しないため、出版社は訪問とそれに伴う収益を失う可能性がある。このサービスは、クロール1回ごとに料金を課すのではなく、AI製品内で実際にコンテンツが利用されたことに支払いを結び付ける。
仕組みとしては、AI企業が支払い対象とする利用の種類と価格を決め、その後、出版社がオファーを確認して受け入れるか拒否する。続いて企業が利用ごとに報告し、Cloudflareが記録を集約し、購入者に請求し、サービスに紐付けられた支払いアカウントを通じて出版社に毎月支払う。
クロールではなく利用に対する支払い
Cloudflareは、クロールだけに料金を課してもコンテンツの最終的な価値を反映しないと考えている。検索エンジンやAI製品は多数のページを取得しても、その後に表示したり利用したりするとは限らないためだ。一方、Pay Per Useは、ページへのアクセス後に何が起きたかに金銭的な対価を結び付ける。例えば、検索結果の回答に抜粋を表示すること、製品レビューを推薦に利用すること、またはリサーチエージェントが生成するレポートで段落を引用することなどが含まれる。
この仕組みは、Cloudflareが2025年に開始したPay Per Crawlとは異なる。Pay Per Crawlはコンテンツへのアクセスに対して対価を課す。新しいモデルでは、出版社は自社に最も適したモデルを選択でき、同じ記事についても利用の種類に応じて異なるオファーを受け入れられる。
サービスの仕組み
AI企業はCloudflare内でプログラムを作成し、自社のクロールボット、支払い対象となる利用の定義、価格、支払いアカウントを指定する。出版社は、Monetize、続いてPay Per Useのダッシュボードで、企業名、利用の種類、提示価格とともにオファーを確認する。参加にあたり、ソースの変更や企業ごとに別の技術統合を構築する必要はない。
出版社は、コンテンツへのアクセスとその後の利用について、各プログラムの条件に従い、トレーニングに関する制限を含む権限を引き続き保持する。オファーを受け入れると、購入企業は、利用時刻、コンテンツのURL、イベント識別子を含むJSONレコードで、利用ごとの報告を送信する。Cloudflareによると、利用は自己申告制だが、各レコードがプログラムに参加する出版社と関連付けられていることを確認する。
出版社にとって実務上何が変わるのか
このサービスは、AIボットの訪問数を超える可視性を出版社に提供し、実際にコンテンツが利用された回数と、ドメインや期間別に生み出した収益を把握できるようにする。Cloudflareは、引用につながったキーワード、リクエストのテーマ、コンテンツの恩恵を受けた製品など、レポートにさらに多くの文脈を追加する計画だが、個人データは交換しない。
このサービスは、出版社のコンテンツに関する質問にアシスタントがどのように回答するかを示すAnswer Engine Optimizationツールと、これらのデータを組み合わせる。これにより出版社は、最も高い収益を生むコンテンツの種類を特定するといった事業上の意思決定や、何を更新すべきか、あるいは発見しやすくすべきかといった編集上の意思決定を行いやすくなる可能性がある。
制約と未解決の問題
Pay Per Useはまだ試験段階にあり、Cloudflareはモデルの実現可能性を評価するため、参加する購入者と出版社と直接連携する。このモデルの成功は、自己申告の正確性、測定に対する出版社の信頼、コンテンツへのアクセスを提供するコストに対して収益が十分かどうかに左右される。また、「支払い対象となる利用」の定義は購入者が決めるため、各プログラムの条件と価格が参加を決めるうえで重要な要素になる。
Cloudflareは、次の目標として、新たな購入者が異なる製品や支払いモデルを持って参加する際に、出版社ごとに登録、レポート、精算の仕組みを再構築せずに済むようにすることを挙げている。また、出版社にオファーを受け入れるか拒否するか、価格を交渉するかをより大きく委ね、コンテンツの新しさ、価値、利用の種類に応じて価格設定できるようにしたいとしている。