Iman Abuzeidは医学教育を修了した後、従来の医療の道を離れることを選んだ。それは医療への関心を失ったからではなく、より多くの人々に影響を与える問題に取り組みたかったからだ。この志向から、彼女は2017年にRome Portlockとともに、サンフランシスコに拠点を置く医療人材採用プラットフォーム、Incredible Healthを創業した。
同社によると、その製品は150万人の医療専門職に利用されており、その中には米国の看護師の2人に1人が含まれる。また、1,500の雇用主も利用している。同社はAndreessen Horowitz、Base10 Partners、Obvious Ventures、Precursor Ventures、NFXなどの投資家から、約9,750万ドルを調達した。
同社が逆転させようとした採用問題
このアイデアは、両創業者が身近な環境で気づいた矛盾から生まれた。Abuzeidの家族や知人の医師たちは人手不足について話していた一方、Portlockの家族にいる看護師たちは複数の職に応募しても返答を受け取っていなかった。医療施設が職員を必要としている一方で、資格を持つ従事者は雇用主にたどり着くのに苦労しているように見えた。
Abuzeidによると、病院の採用チームは小規模で、応募数の多さに圧迫され、手作業の手続きに依存していた。そこでIncredible Healthは、通常の採用プロセスを逆転させる市場を設計した。医療従事者が雇用主に応募する代わりに、雇用主が適切な従事者に応募するのである。このプラットフォームは、病院、外科センター、在宅医療組織、その他の医療施設における常勤職の選考とマッチングを自動化する。
医療従事者は無料で利用できる一方、雇用主は市場とその他の採用ソフトウェアを利用するために年額サブスクリプションを支払う。挙げられている顧客には、Kaiser Permanente、Tenet Health、Trinity Health、NewYork-Presbyterian、Johns Hopkinsが含まれる。
AIエージェントによって実際に何が変わったのか
2025年、Incredible HealthはBaylor Scott & White Health、Sutter Health、NewYork-Presbyterian、Johns Hopkins、Tenet Healthなどの医療システムと協力し、自社製品にAIエージェントを追加した。記事によると、これらのツールは採用チームのニーズから切り離して開発されたのではなく、顧客が既に利用している業務フローの中に組み込まれるよう設計された。
エージェントのLynは、候補者との初回面談を行い、臨床面および行動面に関する質問をし、雇用主が提供する価値を説明し、空きポジションについて話し合ったうえで、見込み候補者を採用マネージャーに引き継ぐ。一方、エージェントのGailは、医療従事者の履歴書作成と面接練習を支援する。
Abuzeidによると、Lynは採用にかかる時間を30%短縮した。候補者の応募から24時間以内に行われる面接は4分の3に達した。それ以前は最長で2週間かかっていた。また、採用担当者が対応しにくい夜間や週末に、約40%の面接が行われている。
このモデルが重要な理由
Incredible Healthの経験における本質的な価値は、単に採用プラットフォームにAIを追加したことではなく、プロセスそのものの中で役割を再配分したことにある。同プラットフォームが対処しようとしているのは、必ずしも候補者不足ではなく、採用チームの限られた対応能力が応募者に迅速に応答する際に生じるボトルネックである。同社が示した数字が正しければ、初期段階の自動化によって、施設が職員を必要とする時点から候補者が実際の面接に到達するまでの隔たりを縮められる可能性がある。
創業者たちの物語は、ソフトウェア企業を創業する際、必ずしも最高経営責任者がプログラマーである必要はないことも示している。Abuzeidは医学、ヘルスケアコンサルティング、プロダクトマネジメントの経験を持つ一方、MIT卒のエンジニアであるPortlockは、エンジニアリング、データ、技術基盤の各チームを率いている。Abuzeidは、この補完関係を、問題を理解することと、それを解決できるシステムを構築することの結びつきと捉えている。
制約と未解決の問題
記事に記載された業績指標の大半はAbuzeidまたは同社の説明に基づくものであり、Lynが行う面接の質や、導入後の採用結果について、独立した評価は示されていない。また、面接までの時間が短縮されたことだけでは、長期的なマッチングの質や候補者の適合性が向上したとは証明できない。このモデルが拡大できるかどうかは、病院が受け入れるかどうか、そして既存の採用手続きにどのように統合されるかにかかっている。
それでも、具体的な進展は、Incredible HealthがAIを候補者を支援するツールから、医療従事者と雇用主の最初の接点の一部へと移行させたことだ。これにより、医療人材採用プラットフォーム間の競争の中心に、単なる求人掲載ではなく、対応の効率性が置かれることになる。