FlexPulse IDE試験の1年間の追跡結果から、AbbottのTactiFlex Duoカテーテルは心房細動患者の治療において安全かつ有効であることが示された。同社はこの結果を基に、米国食品医薬品局(FDA)へ米国での同機器販売申請を提出する準備を進めている。
このカテーテルは、パルスフィールドアブレーション(PFA)と高周波アブレーション(RF)の2つの技術を1台の機器に組み合わせている。Abbottによると、この設計により、医師は治療法をより柔軟に選択し、患者のニーズに合わせて調整できる。特に、脳卒中や心不全と関連する可能性がある心拍リズム障害である心房細動の複雑な症例で有用だという。
試験で何が示されたのか?
FlexPulse IDE試験には、発作性心房細動患者計180人が参加した。Abbottが発表した結果によると、全参加者で肺静脈隔離に成功した。これは、異常な電気信号が不整脈を誘発するのを防ぐことを目的とした処置である。
また、試験は主要有効性評価項目を達成した。1年間の追跡期間中、74.6%の患者で、記録された不整脈、薬剤の変更、または再治療がみられなかった。主要安全性評価項目に関連するイベントの発生率は1.7%だった。
1年間のデータは欧州心臓病学会の学術集会で発表され、EP Europace誌にも掲載された。今回の結果は、4月に開催された心臓リズム学会の会合で6カ月間の追跡データが発表された後に示された。
なぜこの進展が重要なのか?
Abbottは、このカテーテルを電気生理学市場での存在感を拡大する取り組みの一環と位置づけている。同市場では、Boston Scientific、Medtronic、Johnson & Johnsonなどの企業と競合している。心房細動治療では、電気パルスを使用するPFAシステムへの関心が高まっている。一方、従来の高周波アブレーションは熱を利用して、異常な信号を遮断する瘢痕組織を形成する。
情報筋によると、PFAは高周波を用いる熱アブレーションと比べ、周辺臓器を損傷するリスクを抑えられる可能性がある。ただし、TactiFlex Duoの実用上の意義は、単一の技術を使用できることだけにとどまらない。PFAとRFを組み合わせることで、医師は治療計画の策定時に、同じカテーテル内で2つのエネルギーを切り替えられる。
まだ何が確定していないのか?
現在の結果は、同機器が米国で承認されたことを意味しない。TactiFlex Duoは2026年初めに欧州でCEマークを取得したが、Abbottはこの試験データをFDAへの申請書類に使用する準備を進めている。そのため、米国での同機器の提供は、規制当局による審査と判断にかかっている。
また、ここで公表されたデータは180人の発作性心房細動患者に焦点を当てたものであり、これだけでカテーテルがあらゆる種類の患者や症例で有効であることを証明するものではない。AbbottはPFAシステムのVoltも販売しており、最高経営責任者(CEO)のRobert Ford氏は、Volt 2.0という更新版が5月に米国で発売されたと述べた。