テスラは、中国政府の市場規制総局(SAMR)が、事故によって車両への電力供給が途絶える可能性がある場合、緊急用の機械式ドア開放機構を乗員が見つけて操作するのが難しいと判断したことを受け、中国で2,975,910台をリコールすると発表した。これは、テスラにとって中国でこれまでで最大のリコールとなる。
今回の措置は、テスラ車で知られる平らな外側ドアハンドルに関するものではなく、車内に設置された手動解除機構に関するものだ。この機構は、電気システムが作動しなくなった場合にドアを開けられるようにするもの。規制当局は、この機構の色が周囲の内装部品と似ているため、重大な事故の際に見つけて使用することが難しくなり、乗員の脱出が遅れる可能性があるとみている。
リコール対象のモデル
国家市場監督管理総局に提出されたリコール届出によると、対象には中国国内で生産されたModel 3が973,156台、中国国内で生産されたModel Yが1,956,713台含まれる。また、輸入されたModel 3が35,590台、輸入されたModel Xが8,328台、輸入されたModel Sが2,123台含まれる。
リコールは2026年9月25日に発効する。テスラは、乗員が開放機構の位置を確認しやすくするための警告ラベルを追加するとともに、車外への脱出を支援する目的で、窓を下げる方法を変更する無線ソフトウェア更新を提供する。発表された対策には、ドア機構の交換や機械的な改修は含まれていない。
テスラ単独にとどまらない広範な措置
同じ日に、内部解除機構に関する問題を理由として、他の8社の自動車メーカーもリコールを届け出た。対象企業はXiaomi、Leapmotor、Xpeng、Geely、Chery、Dongfeng、BAIC BluePark、FAWである。これは、この問題がテスラの設計だけに限らず、同様の緊急ドア開放機構を車両に採用したメーカーにも及んでいることを示している。
ただし、今回の問題に関連する他社のリコール台数と比べると、テスラの対象台数は大幅に多く、中国の電気自動車車両全体に対する措置の影響は広範囲に及ぶ。
ユーザーにとって何を意味するのか
実際には、対象車両の所有者は、リコールの発効時に警告ラベルが取り付けられ、ソフトウェア更新が配信されたことを確認する必要がある。この措置は、ドア設計の安全性評価が日常的な使いやすさだけでなく、電力喪失時や重大事故後の状況で乗員が手動で脱出できる能力にも及ぶことを示している。
今回のリコールは、隠し式ドアハンドルや類似の設計に対する中国の規制強化の一環として行われる。中国は2月、安全上の理由から隠し式ドアハンドルを禁止する提案に関する手続きを終えた。一方、規制当局は昨年、こうした設計に対してより厳格な措置を取り始めていた。
米国での規制・司法上の圧力
テスラのドア設計は、米国でも監視が強まっている。同社は、事故後に乗員が閉じ込められた原因としてドアハンドルを非合法死亡の責任に問う複数の訴訟に直面しており、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)も昨年、この設計に関する調査を拡大した。
7月、NHTSAはドア開放機構を欠陥と認定するよう求めた請願を退けたが、その一方で、この設計に適用される基準に影響を及ぼす可能性のある規則を策定するため、新たな手続きを開始した。また、議会議員らは、ドアハンドルを明確に対象とする「SAFE Exit Act」と名付けた法案を提出した。